ユーザー事例

ユーザー事例:慶應義塾大学様

和雑誌の電子ジャーナルとして貴重な存在。知名度のある刊行物の収録と使い勝手の良さを評価。スマートフォンでの利用が進み、今後は新機能「就活企業サーチ」に期待。
 今年開館100周年を迎えられた慶應義塾大学三田図書館にお邪魔し、メディアセンター本部電子資源ご担当・保坂睦様、三田メディアセンターパブリックサービスご担当(レファレンス)長野裕恵様、三田メディアセンターパブリックサービスご担当(雑誌)森嶋桃子様に、「東洋経済デジタルコンテンツ・ライブラリー」(以下、DCL)のご利用状況やご要望を伺いました。
慶應義塾大学の皆様

東洋経済 以下(T)
 慶應義塾大学様にはDCLのサービス開始当初からご導入いただいています。

慶應義塾大学 以下(K)
 DCLは2009年1月にトライアルを開始し、同年5月から正式導入をしました。和雑誌の電子ジャーナルは少なく、数を増やしたいと考えていたところへ東洋経済さんから実験的導入の提案があり、そのお話に乗らせていただきました。当初はシステム面など試行錯誤が多かったですが、こちらからの意見を反映していただけたのは良かったです。

「経済、ビジネス系のゼミには必ず薦めます」

T:  現在、DCLの利用状況や感想はいかがでしょうか。

K:  電子ジャーナルであり、しかも使いやすいインターフェースだからか、学生がカウンターに相談に来ることがそれほどないのです。そのため、ログ等の統計数値以外は把握しにくいというのが正直なところです。館外で利用できることも、その傾向を強めているのでしょう。
 ただ、たとえば『会社四季報』の紙版に関してカウンターで問い合わせを受けた際に、「DCLもあるよ」と伝えるとたいへん喜ばれます。
 元々の知名度が高い紙媒体が電子化されたということで、スムーズに受け入れられていると思います。和雑誌の電子ジャーナルは現在も非常に少ないのですが、日本語であるしコンテンツも身近なので、学部生が初めて電子ジャーナルに触れる入口として、とても魅力のある存在だと感じています。

T:  ログを拝見すると、利用の頻度がたいへん高いです。

K:  コンテンツ内容もさることながら、アクセスポイントとして、ワンストップで済むKOSMOSの導入が早かったのもあるでしょう。慶應の蔵書検索システムであるKOSMOSは、電子ジャーナルも検索できるようになっています。そうした環境の中、電子ジャーナルをパックとして導入したのも比較的早く、それが電子を身近に感じる学生を多くした理由だと思います。

T:  学生の皆さんが最初にDCLに触れるきっかけは何でしょうか。

K:  KOSMOSでDCLの存在を知って、使い始めたら便利、という例は多いでしょう。
 さらに、実際に学生と触れ合う機会としては、オリエンテーションがあります。画面を見せて、就職活動にも使えると紹介すると、これは便利だということがわかるようで きっかけにはなっています。
 三田キャンパスの経済系は商学部、経済学部の3年次からで、その春学期に行う図書館のレクチャーはゼミ単位での申し込みになります。その際には、テーマごとに資料やデータベースの紹介を行いますが、経済系、ビジネス系のゼミには、DCLを必ず薦めています。

「特別に案内していないのに、スマートフォンでの利用は広がっています」

T:  スマートフォンでの利用についてはどのように案内されましたか。

K:  リモートアクセスのスマートフォン経由でDCLを利用している学生は多いです。DCLは画面表示も最適化を施してあり、スマホ対応になっているので読みやすい。
 図書館としては、DCLはスマホで使えますよといった特別な案内はしていません。ただ、最近の学生は持ち込みPCよりもスマホですね。スマホを持ってカウンターに来て、この資料がほしいと尋ねてきたりするなど、非常に利用率は高い。彼らをみていると、図書館のHPにリンクしているのもあって、接続環境を特段意識することなく、スマホを使っているうちに自然にアクセスできたから、そのまま使っているという感じです。

T:  今後はスマホ利用を積極的に進めていかれる予定はありますか。

K:  2012年秋、三田については図書館のHPをスマホ対応にする予定があります。学生が、DCLを使うための認証を図書館ページで行わなくてはいけないのですが、そうした前段階の手続きがスマートフォン・フレンドリーになれば、利用がさらに増えるかもしれません。ただ、それ以上は、今のところ具体的に考えている訳ではありません。スマホはPCより機種が多いので、すべてをフォローするのは難しいところがあります。

図書館閲覧コーナー

T:  就職活動にもスマホが頻繁に使われます。説明会の前に電車の時刻を調べるように、DCLも手軽に使っていただければと思うのですが。

K:  メディアセンターによっては、就活のためのメディア・コンテンツという形で、ちょっとした紹介を学生向けに行っているところがあります。紹介すると学生が喜んで、「あー、こういう風に使えるんだ」みたいなことも言い出して、仲間にツイートしたりすることもあるようですね。個人的な印象ですが、学生の間で結構口コミで広がっているんじゃないでしょうか。これはDCLに限りませんが。図書館で聞いたら「このDBはダウンロードできるって言われたよ」と広まる。また、「友達からも聞いたが、どうしたらいいのか」と図書館に問い合わせてくる学生もいます。
 とりあえず一人が便利なことに気付くと、芋づる式に広がっていく。「お前、知らないの?」みたいな感じで。(笑) 中心人物が「東洋経済派」か「某他社派」か、どのDBを使うかによって、広まるDBも違ってくる。(笑)

「“就活企業サーチ”って良さそうですね」

T:  利用にあたっての感想、意見をお聞かせください。

K:  『会社四季報』について、もしできればpdfじゃなくて、htmlや、データのダウンロードができればありがたいです。企業データ、財務データを詳細に比較ということになると別のデータベースになってしまうのでしょうが。どうしても『会社四季報』を学生が好むんですよ。だから『会社四季報』を入り口として、もうちょっと使いやすいとありがたいかなあ、と思います。
 企業検索については、今は証券コードと企業名のみの検索だけですが、せめてDCLに搭載している『外資系企業総覧』並みには、業種、所在地、人数などが、データベースっぽい造りで検索できるといいですね。スクリーニング的な機能があるといいです。

T:  まだ試作中なのですが、この秋に「就活企業サーチ」という検索の新機能を追加します(※)。『会社四季報』を含む5誌について、今まさに仰った業種や所在地、採用人数等のテーマで検索が可能になります。(試作段階の画面のペーパーをお見せする)

K:  ああ、これはいいんじゃないですか。学生には、このレベルがちょうどいいですね。

※「就活企業サーチ」は、2012年10月1日にDCLに搭載しました。

T:  その他の感想はいかがでしょう。

K:  割とスムーズに使っているので、感想めいたものはさほどありませんが、『週刊東洋経済』などは、紙でめくっているのと印象が違います。目次から特集まで行くのに結構時間がかかるじゃないですか。それが気分を萎えさせる原因になるかもしれない。分かっていればそこまで行くんだけど。パッと見た時、巻頭コラムなどがあって、「あれ、特集と違う」みたいな。もちろん目次が揃ってちゃんと普通にあるのは正しいとは思いますが。
 目次をクリックすると各ページに跳べるといいかもしれませんね。ただ紙の目次は、記事の重要度を文字の大きさでアピールしているが、それがDB版の目次だと全部一緒になってしまう。重要度とか、押しが分からなくなるのは、どのDB系も同じでしょうが。

「固定料金制はありがたいです」
慶應義塾大学旧図書館

T:  コンテンツや使い勝手など、他社サービスと比較した感想をお聞かせください。

K:  想像ですが、自社記事配信系のデータベース3社は、互いを参考にして、一緒に成長していると思います。数年前から、それぞれの検索機能などが使いやすくなっているという印象です。トップがどれかという感じはない、目指すところは一緒なのでしょう。
 ただ、あくまで電子ジャーナルとしてみるならば、そこまでインターフェースにはこだわりません。紙媒体の知名度がもともと高く、その電子版という位置づけだと思うので、インターフェースにはそれほど左右されない。コンテンツの質の方が重要だと思います。
 タイトル数についてですが、他社DBには大学図書館として学生向けとは思えないコンテンツを含んでいる場合もあり、多ければよいとばかりは言えないでしょう。

T:  DCLは所属人数に基づく固定料金制度です。また、この8月からアクセス数制限を撤廃しましたがいかがでしょう。

K:  やはり、アクセス数無制限は助かります。また、予算策定に際して予測可能な定額料金がありがたいです。同時アクセス数制限の撤廃よりは正直、固定料金のほうがプライオリティが高いですね。

T:  今日はたいへんありがとうございました。


【取材日】2012年8月22日